津南醸造(新潟県津南町)は2025年12月31日、メタバース空間の仮想酒蔵「月面酒蔵 〜Lunar Brewery〜」を本格ローンチしました。インバウンドと海外市場を主な対象に、酒蔵のストーリーと体験価値をオンラインで届け、国内外の接点強化を図ります。背景には、訪日客数が高水準で推移する環境や、清酒輸出で「体験」や「物語性」の重要度が増している点があります。同社は魚沼産コシヒカリなど地域資源に加え、生成AIを製造に活用する「スマート醸造」も進めており、伝統と先端技術の融合を発信します。月面酒蔵は「2040年の酒蔵を現代に再現する」をコンセプトに、月面建築の考察や微生物生産の可能性などを学べる設計です。今後はバーチャル蔵見学、世界規模のカンファレンス、流通関連ミーティングなどでの活用を順次予定し、metatell(運用はUrth)で構築・運用します。2040年の「月面に酒蔵」構想を掲げる同社は、閉鎖環境でも発酵が食文化を生む価値に着目しており、越境コミュニケーションの場づくりがどこまで拡張するかが焦点になりそうです。
